2025年7月6日放送の『情熱大陸』に、ピアニスト・亀井聖矢さんが登場しました。
今回の放送は、華やかな舞台の裏にある苦悩と成長、そして再起の物語でした。
亀井さんの静かな強さと、音楽に懸ける情熱が、画面越しにもひしひしと伝わってきました。
2001年生まれ、愛知県出身。桐朋学園大学を経て、現在はカールスルーエ音楽大学に留学中。
2019年のピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを皮切りに頭角を現し、2022年、ロン=ティボー国際音楽コンクールにて第1位を受賞。
2025年5月にはベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクールで第5位に入賞。
今、世界が注目する若手ピアニストのひとりです。
今回の情熱大陸では、2025年のショパン国際ピアノコンクール予備予選で不合格となったときの挫折、そして最愛のお父様を亡くされたことが丁寧に描かれていました。
予選前夜は緊張と不安で食事ものどを通らず、ステージに立つのもやっとだったといいます。
誰にも言えないまま抱えた悲しみと葛藤は、視聴者にも強く伝わるものでした。
「このまま終わりたくない」
そう言って彼が挑んだのが、エリザベート国際コンクール。
一次で落ちたらピアノを辞めるつもりだったと語るほどの覚悟をもって臨んだ舞台で、ファイナルまで進出し、見事に結果を残しました。
舞台裏で見せた安堵の涙と、やわらかな微笑みには、言葉にならないほどの重みがありました。
彼の演奏には、どこか祈りのような静けさと強さが宿っています。
技巧や表現の巧さはもちろんのこと、その音の奥にある“想い”が聴く人の心に響くのだと思います。
番組を通して、ひとりの演奏家の音楽が、どれほどの経験と感情から生まれているのかを知ることができました。
苦しみや喪失を越えて紡がれる音楽は、より深く、豊かに、聴く人の心に届く。
これからの亀井聖矢さんの音楽人生に、ますます期待が膨らみます。
次にどんな音を聴かせてくれるのか、心から楽しみです。